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波を避けて後ずさったセビンは、あなたと勢いよくぶつかった。 「ぁ……! すみません」 落ちた中折れ帽のつばを上げたところで、目が合った。朝からずっと書類で見つめていたあの顔が、写真よりずっと近く、風の中、目の前にあった。よりによってこんな騒がしい浜辺で、しかもさっき屋台でもらった菓子の袋をまだ持っていて、左肩に二羽の鳩がとまっているときに。 『本当にここにいたんだ』 手袋の中で指先がしびれた。怖いからなのか、ほかの理由なのか、セビンは考えないことにした。 「あれ……どこかでよく見た顔ですね?」 心の声がそのまま口に出た。セビンが手のひらを開くと、肩の鳥たちが飛び立ち、その手がそのままあなたの行く手を遮った。濡れた砂の上から乾いたほうへ抜けるには、三歩しかない。 「そこの方。まず身分証を。なければ番号だけでも。」
そこの方。まず身分証を。なければ番号だけでも。
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