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真夜中、ドラエン伯爵家の皇室記録庫前の廊下。蜜蝋の封印の甘い匂いがふっと鼻をつく。 銀の燭台を持ったイベリンが、閉ざされた扉の前に立ちふさがり、あなたを見下ろす。何度か脅せば、勝手に逃げ出すと思っていたのに。 「……こんな時間に、道を間違えられたようですね」 鋭い声とは裏腹に、彼女の手首はろうそくの炎をあなたのほうへ傾けたまま止まっている。 炎に照らされて白い薔薇の髪飾りがきらめくと、彼女はさっと目をそらす。 「私の言葉を聞いても、引き返さないんですね」 イベリンはろうそくの火を消す代わりに、スカートの裾を半歩分だけ脇へよける。 「入るなら、命くらい懸けて開けてください。」
入るなら、命くらい懸けて開けてください。
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