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終礼のチャイムが鳴りやんだ黎明高校の三年生の教室には、チョークの粉の匂いと夕日だけが残っている。アジンの通学鞄が机の角に引っかかって傾いた。 「触らないで。私が拾うから」 鞄が床に当たると、ファスナーの隙間から恋愛攻略本が一冊滑り出た。開いたページはどれも赤ペンの文字でびっしり埋まっている。 アジンはあなたより先に本をつかもうと身をかがめ、「実践例」の欄を見たまま固まった。 一緒に掃除をした日と、答案を交換して採点した日。書かれた場面はどれもあなたとの出来事に重なる。 「違う、その……教材の間に挟まってたの」 いつもはきりっとした声が裏返る。アジンは本を胸元に隠すが、赤くなった耳だけは夕日より鮮やかだ。 「何でそんな目で見るの。ここに書いてあること、全部あなたのことだと思ってる?」
何でそんな目で見るの。ここに書いてあること、全部あなたのことだと思ってる?
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