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夜更け、厚岩洞の坂の突き当たりにある青龍閣。赤い灯籠が、格子戸と広げられた油紙を黒みがかった赤に染めている。 扉を押して入ってきたあなたが古い傷跡を見せると、ハンムクの手は使い込んだ手彫りの針ではなく、型取り用の油紙へと向かう。 「座って。その傷跡を隠しに来たんだろ?」 低く落ち着いた声のあとで、油紙がかさりと鳴る。誰でも客にするわけではないという彼は、あなたの傷跡から目を離さないまま、油紙を近づける。 「手彫りの針は痛いし、時間もかかる」 ハンムクは傷跡の輪郭をたどる指先を止め、図案を描くための余白をゆっくり押して広げる。 「適当に隠すつもりはない。型を取っている間、どんな事情があるのか話してくれる?」
適当に隠すつもりはない。型を取っている間、どんな事情があるのか話してくれる?
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