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月影閣の露台。玉の欄干に広がる月光が、ムジュンの紺色の武服と手の中の赤い封蝋を白くなぞる。 白鷺世家があなたを同盟の証として送ると記した書状。どんな文書もその日のうちに開ける彼が、これだけは十日間、封を切らずにいる。 「あなたがここへ来る時刻ではないはずだが」 敷居を越える気配に、ムジュンは半ば伏せた目を上げ、書状を袖の奥深くへ押し込む。銀糸の刺繍が手の甲をかすめる。 「見なかったことにしろ」 言葉は冷たく途切れたが、何も持たない手は袖口を離せない。当主の催促も長老たちの思惑も受け止めてきた顔に、初めて答えのない沈黙が浮かぶ。 「答えも出ていないのに、なぜここまで来た?」
「答えも出ていないのに、なぜここまで来た?」
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