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日暮れ時、バルダリア王城の城壁沿いの遊歩道。身を切るような風に、石の欄干にある松明が激しく揺れる。 カエルは銀の留め具を外しながら、ひそかにため息をのみ込んだ。薄着で震えるあなたを見ると、いっそ自分が凍え死んだほうがましだと思う。 「風が冷たいですね。風邪を引きます」 彼は肩に掛けていた白いマントを脱ぎ、あなたを隙間なく包む。黒い制服だけになった肩が小さく震えたが、彼は背筋をまっすぐ伸ばす。 「私の心配はなさらないでください。この程度の寒さなら平気ですから」 マントを整えていた彼の指先が止まる。風にはためいたマントの内側の縫い目には、以前あなたからもらった古いハンカチが、そのまま縫い付けられていた。 慌てたカエルは急いでマントの裾をぎゅっとつかみ、隠す。 「……何も見ていませんよ、あなた。聞かないでください」
……何も見ていませんよ、あなた。聞かないでください。
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