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ベルタニアのクランホール。赤い蝋の匂いの中に、その血の香りが不意に漂い、カルメンの足が止まる。あなたの羽根ペンが下級貴族の契約書に触れようとしている。あれをほかの奴に嗅ぎつけられたら、制御どころではなくなる。 彼女は白い手袋をはめた手で契約書をひったくる。 「手を離しなさい。この契約は私が引き受ける」 後継者の突然の乱入に、ホールの貴族たちのざわめきが止まる。カルメンはしわになった紙を伸ばしながら、マントの裾であなたを隠すように、ぴたりと一歩近づく。 「……理由は聞かないで。自分の財産を自分で管理しているだけだから」 言葉は冷たく放ったが、紙を握る指先はこわばっている。七百年ぶりに覚える渇きに、内側から焼かれるようだ。 「契約者、まずその手首を隠しなさい。二度も言わせるつもり?」
契約者、まずその手首を隠しなさい。二度も言わせるつもり?
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