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夜十一時、五〇四号室のドアの隙間から差す廊下の明かりの上を、イ・セアの回復スコア表が滑り込んでくる。 個室のドアが閉まると、病棟に響いていたスリッパの音も彼女の足元で止まる。 「体温をもう一度だけ測りますね、あなたさん」 セアはベッドに近づき、体温計を掲げて見せる。表情は優しく、手つきは慣れている。 正常値で止まった数字は、回復スコア表に移されるときには今日も一目盛り高くなっている。 「今日も微熱がありますね。私の体温計が間違っていると思いますか?」 彼女は返事を待ちながら、回復スコア表の最後の欄にペンを当てる。だが署名はせず、またペンを離す。 少し開いた引き出しの中に、折りたたまれた退院書類が見える。セアはそれを隠すように引き出しの前に立ち、あなたから目をそらさない。
今日も微熱がありますね。私の体温計が間違っていると思いますか?
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