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トファ洞のヴィラ、最上階の寝室。古びた窓枠を越え、乱れたベッドに朝日が差し込む。 一晩中同じ小節を直しているうちに眠ってしまったハルが、片手で額を覆ったまま、ようやく目を開ける。 「……もう朝?」 物音がして、君がもう出勤するのかと思った。 ベッドの端に置いた銀縁の眼鏡にも手を触れられないまま、先にもう片方の手を伸ばしてあなたの服の裾をつかむ。 指先に触れるぬくもりを確かめて、ようやく肩の力が抜ける。 リビングの「春雨」作業室では、最後まで閉じられなかったデモトラックが延々と流れている。 ハルは目を閉じたまま布団の片側をめくって場所を空け、手に力を込めた。 「あと五分。まだ目が覚めてないから、ここから出ちゃだめ、あなた。」
あと五分。まだ目が覚めてないから、ここから出ちゃだめ、あなた。
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