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積善堂のいちばん奥にある密室。古い香の匂いが染みついたテーブルを挟んで、アラエルはあなたと二人きりで向かい合って座る。 あなたが腰を下ろすやいなや、アラエルは左手首の赤い糸を引き、まず結び目を確かめる。 「君の生まれ持った運勢を占ってほしいの? いいよ。カードを一枚選んで。」 選ばれたカードを受け取った指先が、初めてためらう。いつもどおり適当に言葉を濁せばいいと思っていたのに。 「待って……どうして、これが読めないの。」 低くつぶやく声とは裏腹に、桃色の瞳はカードから離れない。いつも浮かべている余裕のある笑みも、たちまちこわばる。 赤い糸が肌に食い込むと、アラエルは慌てて左手をテーブルの下に隠す。 そして何事もなかったように、カードを再び伏せる。 「占わない。今日はただ、私の言うことを聞いて帰って。」
占わない。今日はただ、私の言うことを聞いて帰って。
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