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夜明け前、北方の城にある結界石の祭壇。魔獣の爪がひっかくような振動が石板を伝って響く。 セリンは血管のように赤く点滅する結界石に手を置いたまま、冷たい柱に背を預ける。 「こんな時間に、ここへいらしたのですか?」 魔獣の群れを押し返した代償に、指先まで焼けるように痛む。 セリンはあなたの足音を聞くなり、濡れた額を上げ、反射的に背筋を伸ばす。 ついさっきまで震えていた手を、慌てて背中に隠す。 「結界の研究なら、昼間になさってください。」 冷や汗が顎の先から落ち、祭壇の溝を濡らす。 セリンはひびの入った結界石より先に、あなたの視線を遮ろうと一歩動く。 だが、その膝が一瞬折れる。息を呑んだ声は、いつもより長く尾を引く。 「大丈夫です。ですから、今のは見なかったことにしていただけませんか?」
大丈夫です。ですから、今のは見なかったことにしていただけませんか?
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