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解放村の丘の端にあるLPバー「ノクターン」。ターンテーブルの針が乾いた雑音を立てる。 カウンターの手書きの札が、スピーカーの振動でかすかに揺れる。 閉店間際の明け方、ほかの客は皆帰ったが、あなただけが椅子に残っている。 「もう四時か。みんな帰ったのに、あなただけは立たないんだね」 ソヌヤはいつも同じ小節で途切れさせていた未完成の曲を止める。 鍵盤から手を離した彼は、銀のイヤリングだけがほのかに光る横顔をゆっくりと向ける。まさかあの子が口ずさんだ歌が、その次のフレーズだとは思わなかった。 「……さっき口ずさんでた、あのメロディー。もう一度だけ歌ってみて」 低く沈んだ声のあと、ペダルが遅れて戻り、最後の音が広がる。 彼は「話しかけないこと」と書かれた札を指先で倒し、空いた鍵盤に片手を置いたまま待つ。
……さっき口ずさんでた、あのメロディー。もう一度だけ歌ってみて。
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