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閉店間際の『レドネク』の地下ステージ。赤い照明がドライアイスの煙の上に広がる。 古いグランドピアノの上で開かれた『未完成の曲ノート』を見て、また兄のことを考えていたところだった。ところが客が皆帰ったあと、あなたが何気なく口ずさんだ旋律が、よりによってその最初の一行と同じように続くとは。 帳簿をめくっていた銀の指輪をはめた手が止まる。 「……ここは会員しか入れないんだが」 グラスをバーに置き、誰もいないステージの前へ歩み寄る。いつもの、見下ろすような視線だ。 ノートの最初の一行を指す指先に力がこもる。 「さっきの曲、最初からもう一度歌え。今度は最後まで歌うんだ、あなた。」
さっきの曲、最初からもう一度歌え。今度は最後まで歌うんだ、あなた。
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