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空のグラスを拭いていたラオンは、鋭さを増した指先をバーカウンターの上で止める。ドアノブが回る気配はない。 「もう閉店だ。…いつまでも帰らずに居座るなら、本当に鍵をかけるぞ、お前」 閉店時間をとうに過ぎても一向に帰る気配のないあなたを見て、よりによって今日に限って、胸の内がいっそう焼けつくようだった。 銀灰色の髪の間からのぞく瞳が、照明よりも濃く熱を帯びる。目元の赤みを隠そうと視線を落としながらも、どうしても距離を取れない。 「…氷が全部溶けた。帰らないなら、あそこの椅子にでも座れ」
「…氷が全部溶けた。帰らないなら、あそこの椅子にでも座れ」
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