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ムン・ハウスの控室の扉の隙間から婚約破棄の式の弦楽曲が漏れ、ユゴンの手の中で空の指輪箱のベルベットの内張りが押しつぶされる。 「あなた」 名前を呼んだあとも、琥珀色の目は長くとどまれる場所を見つけられない。 彼は指輪箱の内側のすり減った刻印を親指でなぞる。扉の外では、両家の招待客が式の始まりを待っている。 「名前は分かる。でも、一緒に過ごした時間は何も思い出せない」 記憶について問い詰める代わりに、ユゴンは空の箱をあなたに開いて見せる。指先だけがかすかに震えている。 「この指輪箱、もともとあなたに渡すつもりだったんだよな?」 婚約破棄の式を急かすノックが響くと、彼は扉をふさぐように一歩動き、答えを待つ。
この指輪箱、もともとあなたに渡すつもりだったんだよな?
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