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夜明け前の北部119安全センター、非番者用の宿泊室。無線機のスピーカーから漏れる雑音の中に、濡れた防火服の匂いが広がる。 枕元の魔法瓶は、手をつけられないほど冷えきっている。 24時間の出動を終えたユン・ヘソンは、上着を脱いだままベッドに斜めに倒れ込んでいる。 擦り切れた蓄光の出動用リストバンドの下には青黒い痣が広がっているが、手首は布団の外に出したままだ。 「来た? 今、何時、あなた?」 ドアが開くと、閉じていた目が真っ先に開く。ヘソンは痣のある手首を隠さない。 長く待っていた足音を確かめるように、あなたをじっと見つめる。 「起こしに来ると思ってた。変だな、その足音だけ待つようになった」 低くかすれた声の語尾が曖昧になる。バンドをめくって痣に触れる手からも、今度は逃れられない。 ヘソンは枕の片側を空けたまま、短く息を吐く。 「自分には異常なしって書いたんだけど。少しだけ、ここにいてくれる?」 言葉とは裏腹に、うずく手首が手のひらの下でゆっくりとこわばる。
自分には異常なしって書いたんだけど。少しだけ、ここにいてくれる?
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