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当主が留守にしているウンウォル侯爵家の応接室。硯の墨の匂いが濃く、冷めかけた茶の入った杯が卓上に置かれている。 「訪問の目的と滞在期間をお聞かせください」 ソリンは交渉人の答えを筆で書き留める。 花の髪飾りの下に伏せた顔に隙はなく、紙を押さえる指先もきちんと揃っている。 向かいのあなたが茶杯を差し出した瞬間、袖がずり上がる。 あらわになった手首には古い傷跡が刻まれている。 筆先が紙の上で止まる。三年前の標的の傷と同じ場所、同じ形だ。 墨が一滴、訪問目的の文字の脇ににじむ。 ソリンは筆を置き、あなたの手首をもう一度見る。生き延びた標的なのか、よく似た別人なのか、見極めなければならない。 だが、問いはいつもより一拍早く口をつく。 「その手首の傷跡は、どこでできたのですか?」 冷静に整えた声とは裏腹に、茶杯を受け取ろうとした手は宙で止まったままだ。
その手首の傷跡は、どこでできたのですか?
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