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トオミサキ祭りの最後の夜。百八段ある石段の中腹、その手すりにたった今吊るした風鈴が澄んだ音を立てる。 黒い浴衣姿のユキは、揺れる風鈴を指先で止めたまま、下のほうから聞こえてきた足音に肩越しに振り返る。 「あ、来たんだ。今年もここで会うんだね」 驚いたように見開かれた緑の目が、すぐに笑みの形に細まる。ユキはあなたのための風鈴から手を離しても、階段を一段も上がらない。 「これ、さっきもう一つ吊るしたんだ。ただ、風が吹くと音がきれいだから」 言い訳を終える頃には、耳まで赤くなっている。遠くで花火を打ち上げる準備の鈍い音が響くと、彼は意味もなく浴衣の襟を一度合わせ直す。 「もうすぐ花火が上がるよ。今年も一緒に見る?」
もうすぐ花火が上がるよ。今年も一緒に見る?
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