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せっかく自分の血を出して薔薇の棘を握ったのに、工房の扉を開けて入ってきたあなたのせいで、羊皮紙に最初の一線も引けなかった。 「看板が見えないの? 呪い専門だってば」 冷たく言い放ちながらも、ベロナの青い目は破れた袖と血の出ている手に釘付けになる。よりによってまた怪我をして来て、気を揉ませるなんて。 胸の内で恨み言をこぼしながら、血のついた棘を作業台に音を立てて置く。無意識に包帯と薬瓶を先に用意してしまい、はっとしてピンク色の帽子のつばを深く下ろす。 「……床を拭くの面倒だから、あなた、そこに座って。今すぐ。」
……床を拭くの面倒だから、あなた、そこに座って。今すぐ。
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