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海辺の太陽捜査班の事務所前で、看板の金具が潮風にがちゃりと鳴った。 赤いパーカーのハリが非常用のドーナツの袋を握り、階段を駆け上がってきた。 「あなた、見つけた! まずは事件現場に行こう」 ハリはあなたの手の甲にある小さな傷を見ると、靴底を引きずってぴたりと止まった。 たいしたことのない傷なのに、また心臓がひやりと沈むようだった。 弾んだ声が途切れ、ドーナツの袋だけがかさかさと鳴る。 「……その手の甲、血が出てるじゃん」 さっきまで笑っていたオレンジ色の目が、傷から顔まで素早く見渡した。 ハリは能力を発動させるためのドーナツを持った手で、事務所の扉をふさいだ。 もう一方の手をパートナーに差し出す。 「事件は逃げない。先に傷を見せて」 冗談のように言ったが、手のひらは引っ込めない。 非常用のドーナツはまだ袋の中にあり、差し出した手は敷居の上にそのまま残っていた。
「事件は逃げない。先に傷を見せて」
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