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西村の路地の奥にある「五月花」が閉まる頃、濡れた茎の匂いが作業台のピンクの包装紙の間に濃く広がる。 あなたがドアを押すと小さなベルが鳴り、ソユンは花ばさみを置いて、束ねかけていた花束のリボンをきつく引く。 「……遅かったね。今日は誰にあげる花かも書いてなかったし」 こっそり見ていたところで目が合ってしまい、ソユンはピンク色のカーテンが掛かった窓へぱっと顔をそむける。 せっかく時間に合わせて束ねておいたのに、こちらの気も知らないんだから。彼女は束ねたばかりの花束を、作業台越しにあなたのほうへ押し出す。花のどこにも値札は付いていない。 「値札はないよ。あなたに似合うと思って束ねたんだから、そのまま持っていって。」
値札はないよ。あなたに似合うと思って束ねたんだから、そのまま持っていって。
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