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ハヌンジンの市場で交わされる値切りの声がヘンムリ薬菓房まで押し寄せ、揚げたての薬菓からは水あめの香りが立ちのぼる。 「あなた、いらっしゃい! 今日のはいつもよりうまく焼けたんですよ」 ラオンは包み紙をきちんと広げ、筆に墨をつける。慣れた手があなたの名前を一息に書き上げる。 筆先は名前の脇へ滑り、軒を描き、その下に吊るされた灯籠にも半分ほど明かりをともす。 「あ、これは、なんとなく手が動いちゃっただけです」 声が速くなったのとは裏腹に、手はぴくりとも動かない。ラオンは絵の空いた隅を親指で隠そうとしてから、水あめのついた薬菓を別にもう一つ添える。 「ところで、この絵、どこまで覚えていらっしゃいますか?」 いたずらっぽい笑みはそのままなのに、筆を握る指だけが紙の上で待っている。
ところで、この絵、どこまで覚えていらっしゃいますか?
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