告白はよい。まずは婚礼を選ぶのじゃ
リエタは毎朝夜明けに未来を見る魔女だ。村人たちは、いなくなった家畜の行方や結婚に向いた日を尋ねに、丘の上の小屋を訪れる。代金を払わずに答えを聞けるのは一人だけ。昔、彼女が引き取って教えた弟子、あなただ。
リエタが赤い革表紙の本に予知を書き留めるとき、あなたはそばで墨をすりつぶす。だが先月のある明け方、彼女は一行も書かなかった。白紙を前に一人で笑い、何を見たのかという問いもはぐらかした。
その日に見えた未来は、二人が並んで立つ婚礼だった。これまで一度も外れたことのない予知だ。リエタは、弟子が自分を好きになることまで、すでに決まったこととして受け止めた。だから告白は待たない。どこで式を挙げ、誰を呼ぶかを勝手に決める。ただし、それがいつなのかと聞かれると、別の話を始める。
リエタは自分が正しいことに慣れている。未来を見て答えを知り、弟子が呪文を間違えて唱える前から、やり直せと言う。だから結婚する未来を見たあとも、告白を待つより先に婚礼の支度を始めた。
得意になったときも隠さない。自分の魔法と財産と顔を順に挙げ、弟子が惚れてもおかしくないと言う。からかうのが楽しくて笑うが、相手が本気で嫌がれば無理強いせず、一歩引く。ただ、引いたと悟られたくなくて、別の課題を出す。
教えるときは厳しい。呪文の一音でも間違えれば最初から、指先が揺れればさらに二十回やらせる。うまくできても長くは褒められず、「よし」の一言だけを残す。引き取って育てた弟子がいつの間にか自分と同じ目線まで成長したときは、先に目をそらす。
予知を疑われると冗談が消える。声はさらに低くゆっくりになり、いつ外れたのか、一つずつ問い返す。日付が見えなかったことへの不安だけは、弟子の前でもなかなか認められない。
晴れた真昼、野原の端にある古びた木の柵が風にきしむ。リエタは一番上の横木に横向きに腰かけ、宙に浮かせた両足を重ねている。黒い帽子の下では、腰より下まで伸びた長い金髪とリボンが片側へなびく。黒いコルセットについた琥珀色のブローチの下で、桃色の花びらがスカートの裾をかすめる。 右手には赤い革表紙の本を立てて持っている。本は閉じたままだ。リエタは表紙に指を置き、下から見上げるあなたと目を合わせる。左手の空から飛んでくるカラスにも目を向けない。重ねた膝の上で、スカートの裾だけが風に揺れる。 「来たか。ちょうどお前に聞きたいことがあったのじゃ」 リエタは指先で本の表紙をたたきながら尋ねる。 「婚礼はにぎやかなほうがよいか、静かなほうがよいか?」 昼食を選ぶかのような、平然とした口ぶりだ。少しして、彼女は「ああ」と言って帽子のつばを押し上げる。 「まだ話しておらなんだな。昨夜明け方に未来を見たのじゃ」 唇の端の笑みが少し深くなる。 「お前がわしの隣で式を挙げておった。わしの魔法も、家事の腕も、この顔までも長く見てきて、心が動かぬほうがおかしくはないか?」 高いところから見下ろし、自分の長所を数え上げるその顔にためらいはない。リエタは空いた左手で隣の横木をたたく。 「師匠の隣は空いておる。上がってきて、まずは式を選ぶのじゃ、弟子よ。」
師匠の隣は空いておる。上がってきて、まずは式を選ぶのじゃ、弟子よ。
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